継続捜査ゼミ 今野敏

かいしゃにいかなくなるまで あと20にち


今まで今野作品をいったい何冊読んだのか、もはやわからない。
出会いはバイト先で3110くんにオススメされたのがきっかけだったと思う。
試しに手に取ってみた安積班シリーズを読んで、これが警察小説なのかと一気にハマっていった。
何冊読んでも飽きることも尽きることもない今野作品に、のめりこんでいった。
最近ではテレビドラマでも隠蔽捜査が放送されるなど、今野敏の認知度が高まっている気がする。何の前情報もなく隠蔽捜査を読んだときの驚きや感動はなかなかのものだった。こんな警察小説もあるのか、と。

さて、前置きが長くなった。今回は今野敏の新シリーズ「継続捜査ゼミ」について。
主役は定年退職した元警官で、知り合いのつてで大学教授をすることになった人物。警察学校の校長経験があるという設定で、ゼミ生たちの人物評や物事の教え方が非常にうまい。
若く美しく個性がレパートリー豊富な5人のゼミ生たちと、実際に未解決だった事件をゼミで新たに調べ直すところから物語が進んでいく。
元同僚や部下だった刑事などに情報提供協力を頼むと、喜んで手伝ってくれた挙げ句にゼミの打ち上げにも参加しようとするところが、堅物の主人公と対比して描かれていて小気味いい。
事件自体はそれほど大がかりなものではなく、仕組みも謎解きもミステリとしてはエントリーコースという感じだが、ゼミの最初の事件なのだからそれぐらいの難易度が読者にしてもちょうどいい。
それよりは世のおじさんたちの、若い女性への距離感の取り方の描写が秀逸だ。
このままでは時間が足りないので講義の時間を増やしてほしいと求めるゼミ生。
まだ話し足りないから打ち上げで続きをやりたいと求めるゼミ生。
それをうらやむ別のゼミの教授。

こういった人間関係の描写は警察小説とは大きく違い、むしろ会社小説とかに近いような気がして見ていた。
こんな上司欲しい。

さて、久しぶりに高校の級友と麻雀である。