得難い

客の新人さんと組んで仕事をしている。
リハーサルで、その新人さんの作ったプログラムがしくじった。
といっても致命的なものではなく、些細なエラー。
エラー詳細を見れば一発でわかるようなものだ。
むしろ、なぜその前段階で見つけられなかったのかわからないくらい。
もしかして、トレーナーにちゃんと見てもらっていないのだろうか。


新人さんのトレーナーには、俺も一年目の頃にだいぶお世話になった。
何も知らないのをいいことに好き放題言いやがって、俺以外にも同じこと言えんのかてめぇ!などと憤慨したりしたものだ。
都市伝説だと思っていた、「悪いけど、今回は泣いてよ」という泣ける言葉をぶつけてきたのも奴だった。



そして新人さんがエラー箇所を修正する。
その修正した内容は、一見間違っていなさそうだが信頼性は低く、そして明らかに安易な方向に修正したものだった。
見てないな、と確信する。
差し出がましいことは重々承知の上。
余計なことを言うなと怒られるかもしれない。
俺は余計なことを新人さんに言いにいった。
その方法はこういった危険があるかもしれません。一応その点だけ気にしてみてください。
新人さんの横には奴がいる。
できるだけ聞こえないようにしたつもりだ。
が、努力の甲斐なく翌日奴から呼び出される。
何がいけないの?
何も問題ありません
他にもこの手法でやってるとこあるでしょ?
いえ、このケースの場合は、ほとんどその手法は取られていません
何で?
わかりません。が、わざわざ違う手法を取るのにはこれこれこういった危険があるのかと推測しました。いかんせん検証が難しく、裏は取れていませんが。
それはシステム屋の回答じゃないな
はい。ですから確たることを申し上げるつもりはなく、ただ“気にしてみて下さい”と
ふん、まぁいい。あとはこいつに調べさせるから






という日記をしばらく前に書いたまま放置していた。
この話を聞いたスーパー派遣さんが滅茶苦茶怒ってくれて、なんか嬉しかったなぁって話をするつもりだったんだけど、派遣さんの優しさは俺の文章じゃ伝えきれないと思って書くのをやめた。



年が、明けて。



「年末、えらい人たちと飲んだんですよね、面白いことありました?」
「ああ、そうそう、なんかトレーナーさんが野辺のこと褒めてたよ。彼はいいね!って言ってた」



口に含んだ卵焼きを吹っ飛ばしながら笑うスーパー派遣さんに、新年初笑いの花が咲きました。



これの前に派遣さんがツボったネタは、
「野辺さんって仕事できなさそうですよねっ!」
って新人に言われたって話。



今年はまだ休肝日ないよ!